Dygram2006、1日目

あとで変更する可能性も高いけど、とりあえず更新。
 
Collapse of a granular material
John Hinch
PILE状に粉体を積み上げて外力を取り除いたときにどのように崩れるのかについての理論的考察。Introで紹介していた実験が綺麗。広がる距離がAspect比のみに依存し、あらゆる物理量に対してRobustであるというのは驚き。単純にエネルギーの保存と、摩擦によって失うエネルギーのバランスという観点ではうまくいかない。数値計算と、ラフに導かれた現象論的な方程式を用いて、実験を再現していた(多少異なる)。しかし、はて本質は?となると、いまいち良くわからなかった。散逸への依存性は弱く、おそらく、何らかの物理量があって、それを散逸させるのに十分な量があれば良い、という形になっているようだ。何らかの物理量に対応するのはおそらく、流動化⇔ガス化転移に対応するようなものだと思われるので、Over dampな系で質量移行の起こり方に着目すれば良い、ということなのかもしれない。
 
Granular Flow
Thomas Halsay
Chute Flowに代表されるような、粉体流に対する理解の試み。粉体流が、Turbidity Currentsと、Debris Flowsという二つに大きく分けて考えられる、という見方は知らなかったので参考になった。
基本的にはBagnold Scalingを基礎として、そこからPouliquenらの実験を再現しようとしていた。Denseな系では、衝突が同じ近接粒子で繰り返し起こるであろうことに着目し、そこから演繹される物理量の次元がどのようになるのかを考えて、次元解析を基礎として解析を進めていた。そうすると、結局散逸の起こる典型的なスケールが導かれるので、(Eddy Scaleと呼んでいたが、多分、この解釈で問題ないと思う。)それと、粘度がどのような関係にあるのかを考えて、実験を定性的に再現していた。最後にそのようなScaleの起源について粒子の転がりに理由を求めていたが、一瞬納得するけれども、微妙な気がする。Perfect Rollingを持ち出すのはRule違反の匂い。でも気持ちはわかる。
 
Supported Granular Flows
Nicolas Taberlet
Supported Layerという現象は面白いのだけれども、それの粉体へアナロジーはまだちょっぴり微妙な気がする。数値計算をして色々議論してたけれども。
 
Dynamics of an unconfined granular flow over an incline
Stephanie Deboeuf
やっぱりChute Flowの話。Pouliquenらの話の小さな極限ではどうなっているでしょう?という話。そのような領域では全体で一様な流れというのは実現が難しく、一点から段々と流れに対して垂直な方向に広がっていくような形になる。そのとき、流れの軌跡がどのように捉えられるのか、という観点からの実験。段々領域が広がっていくのだけど、境界部で一見変な挙動をしているようだ〜と思ったけど、Staticな領域とDyanamicalな領域のCross Overとして理解できそう。終わった後に聞きに行った感触からも間違いはなさそうな予感。
 
Computational Analysis of the microstructure-dependent rheological properties of high solid loaded colloid
Iwan Schenker
Motivationは微小な構造がShearなどの外力に対してどのような応答をするか調べましょう、という感じ。一応、Colloid系で、ということなんだけど、数値計算はDEMで走らせていた。内容はいまいち良くわからんかった。Stress Chainが見えました、と言っていたけど、それはもう数値計算なら色々あるしなぁ。
 
How Solid can a liquid foam be
Sylvie Cohen-Addad
Invited Speaker初の実験の話。着目しているのは粉体というよりは泡のShearに対する応答がどうなるか、という話。詳しくはわからなかったけど、ガラスの伝統的な話を念頭において話しているような雰囲気。
G''が十分に高い周波数領域で指数1/2の応答を示すのはともかくとして、低い領域でPeakを持つような振る舞いを示す。これが泡のCoarseningで説明できる、としていた。
後半部は粉体がらみ。というか、泡に粉体を混入したときに""堅く""なるのだけれども、その堅くなり方が、粉体の臨界パーコレーション密度からどれくらい離れているかで説明できる、という話。何かうまくいってそうな印象だけれども、Fittingがどれくらいうまくいってるか良くわからんところが多少あり。理論的な説明はまだ。
 
Hydrodynamic models for granular flows
V. Kuraman
粉体流の流体力学を、Maxwell-Boltzmannからはじめて地道に導きましょう、という話。途中でどこでうまくいってどこでうまくいってないのかわからなくなってしまった。一回自分でやってみないと駄目だろうなぁ。
 
Refraction of Shear Zones in granular materials
Tamas Unger
多分、去年もPosterでこの話聞いたな。光の屈折とのアナロジーで2種類の粉体を混ぜ、応力をかけた時のShear Zoneの出来方を議論する。単純には摩擦係数に比例してくれればうれしいのだが、そうはならない。それでも導かれる実効的な"摩擦係数"は真の摩擦係数に対して単調増加はするようだ。理論的にきっちり説明するには何に着目すれば良いんだろう?
 
Velocity Statistics in Dense Granular Beds
David Bray
Cell中に粉体を閉じ込めてガス化させたときに、どのような挙動を示すのか、という点についての数値計算からの考察。結論はDenseにすればするほど速度分布関数の形は指数に近づく、と言うことだったので正直びっくりしたけれども、講演や、終わった後に色々聞いた結果としては、結局、Clusteringが重要だ、ということだったので、それは納得。
一次元に落とした理論は正にClusteringありきの議論だったので当たり前やろ、と一瞬思ったが、速度分布関数については自明ではないのかな。
数値計算で実際にClusteringが生じているのかどうかについてはきちんとした評価はしていないみたい。まぁ難しいとは思うけれども。