福島第一原発の経過について

この記事は経過に伴い随時更新されます.2011/3/18 13:18
福島第一原発放射能漏れについて,物理学科時代の友人と一緒になって解析をしていました.下記のリンクはその友人が中心になって各地の計測値を図示してくれたものです.
 
http://d.hatena.ne.jp/oxon/20110318/1300381733
 

この図からわかることについて概説します.疑問,指摘などあれば大歓迎です.


 
重要な事象;
3月14日午後9時以前と以降で起きている現象の質が変わっている.それは,  
* 関東各地のモニター値が平常値よりも明らかに上がり出した
* 第一原発のモニター値も以前より長い緩和時間に変化
の2点からわかります.


 
これらに対する解釈は,以前においては比較的短時間で崩壊する核種の漏れにとどまり,他地域に到達していない.

というので問題ないと思います.(例外として南相馬市の高い値が気になりますが…)

ただし,3月14日午後9時以降では,どうやらもっと崩壊時間の長い核種の漏れが起きています.半減期,〜3hから判断すると,核種としては,88Kr(半減期2.8h)である可能性が高いです.ここで,88Kr(クリプトン)であった場合の健康への影響についてですが,一番問題なのは半減期が長いことでしょう.近くに滞留している場合,その影響を受け続けることになります.ただし,クリプトンは希ガスですから,体内に吸収されることは間違いなくありません.したがって放射性ヨウ素のような事象は起きないと考えられます.訂正します.どうやらKEKの調査によると,絶対量はともかく,ヨウ素の放出も確認しているようです.http://www.kek.jp/quake/radmonitor/GeMonitor.html
 

次に,そのようにして発生した放射性物質(多分クリプトン)がどのように運ばれるのかについて考察します.途中で色々な考察を挟みましたが,結論から言うと,おそらく原発で上空に舞い上げられた放射性物質,おそらくは,微粉末に吸着した状態で上空(おそらく4〜5km舞い上がってる?)の気流にのって運ばれた,と考えるのが妥当でしょう.上空の気流は大体時速100kmに達することもありますから,各地にそれなりに速い時間帯に到達しています.
 

さて,その放射性物質が到達までに薄まる過程には,大きくわけて,
* 核崩壊による強度の減衰
* 物質の濃度の拡散による効果
の2点が考えられます.前者は既に説明したように3時間程度で半分になります.後者については,詳しい考察は省きますが,間に遮るものが無ければ大雑把に40〜50kmで1桁弱落ちるようです.もちろん,これは間に山とかがあれば話は別です.おそらくはもう少し桁が落ちる方向にいくでしょうが,詳しい考察はまだしていません.
 

最後に一番問題となるのは,周期的な第一原発放射性物質のもれと,長期的な絶対量の上昇です.これについてはただいま考察中です.